文明の踏み分け道で考える―北川フラムと“アート”を語る レポート 第6回 「福島から考える―やがてミロとなる子どもたちへ」 ゲスト:尾田栄章
2014年9月24日(水) クラブヒルサイドサロン

「北川フラムと“アート”を語る」シリーズの第6回目は、国交省河川局長として長年にわたり「河川環境」の改善に尽力され、退職後は水関係のNPO団体、そして現在は福島県広野町の町役場の一職員として現場の復興事業に携わる尾田栄章さんをゲストに迎えての対談。
尾田さんはまず、現在関わられている広野町の紹介から始め、ほとんどメディアでは取り上げられることのない福島での復興作業現場の様子、3.11以降の避難先での人々の暮らしやその変化の問題点を含めて切々と詳細に語った。そして今後、避難されている方々の「幸福な帰還(ハッピーリターン)」があるとすれば、それはどのようなかたちで実現されるのか、そのことをめぐって対談は進行し、北川さんは大地の芸術祭、越後妻有での経験にひきつけて、結局は「幸せなコミュニティ」の気分をどうつくっていくのかということに帰結すると語る。

そこから尾田さんは地元が変わるためには自分たちの力だけではなく外部の力が必要で、外部の力があって初めて地元の人が変わりうるといい、そこに越後妻有の活動を重ね合わせた。さらにはアートでもなんでもいい、地元の人たちの間のネットワークをつくりだすこと、交流を生み出すことのきっかけが重要だとも。
尾田さんと北川さん、お二人のこれまでの蓄積を交えての対談は福島だけにかぎらず、日本の地域の現状と今後の展望を考える上でとても有意義なものとなった。