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新津保建秀写真スクール「見えないものを撮る」 第5回 レポート

2011年11月12日(土) アネックスB棟

新津保建秀写真スクール

 ゲストは、自らのブランド「ミナ・ペルホネン」において、ファッションから家具、器まで、幅広いデザイン活動を展開するデザイナーの皆川明さんです。五感のなかで最も生理的な感覚につながる「匂い」をテーマに皆川さんが出された課題は、「生命の匂い」。暗闇・透明・ケモノ・気配・存在…といった正と負のイメージをそれぞれ持った単語がちりばめられた皆川さんによる詩を受けて、1枚の写真を提出するというものでした。

 肌の匂い、若さの匂い、都会の夜の匂い、生活の匂い、死の匂い、血の匂い、性の匂い、季節の匂い――これまでの課題が、比較的論理を要求するものであったのに対し、今回は直観的に撮った作品、無意識や偶然性に委ねて撮った作品が多くみられました。その一方、「匂いとは何か」を論理的に突き詰めて果敢に追求した作品もありました。

新津保建秀写真スクール

 自らの生理に率直に反応して撮っただけ写真は、ともすればひとりよがりな表現になってしまう。それをどのように、他者と共有できる、社会との接点をもった表現にすることができるのか。新津保さんは、「視る私」や「表現する私」と過剰に戯れてしまうことの危険性と、写真の中にある、具象と抽象のあいだの無意識の痕跡を指摘します。「かけがえのない大切な私」が見た世界へのナイーブな思い入れを排して対象へ向かえたとき、多様な解釈と対話が生まれるのではと言います。一方、皆川さんは、自意識から逃げていくあり方、自己の中で閉じてしまうのではない、開かれたあり方によって、そこから逆に“自分”が出てくるのだと語ります。それは、皆川さんがつくる服が、それ自体では完結するのではなく、人が着て、そこに感情が生じて初めて表現となり、社会との接点があるところに着地できるということと重なります。

新津保建秀写真スクール

 ひとりひとりの課題に対する皆川さんの講評の言葉は実に詩のように美しく、画面のすみずみのディテールを一瞬でとらえてしまう観察眼は、皆川さんの普段のお仕事への姿勢を髣髴とさせるものでした。

 次回は、東浩紀さんをゲストにお迎えした「言葉を撮る」。課題は、2011年の終わりにふさわしく、ずばり「“ベクレル”を撮る」です。

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