都市根拠者の気持ち RELAY ESSAY 008

- 北川フラム
- PROFILE
Date : 2012 / 05 / 02
私は代官山をベースに働いている。
住民票は目黒区三田にあるが、どう考えてみても代官山に居る時間の方が多い。以前、千葉県のニュータウンでイベントに関わった時に思ったことだが、人は何処で選挙をするのか気になっていた。寝るだけに帰ってくる勤め人が、どう候補者を選ぶのだろう。彼は大手町なり勤務地で東京したらよかろう。
地震の際にも、この都会人の行動形態が重要な意味をもってくる。夜ならいざ知らず、3月11日の2時46分に、この代官山には、オフィスワーカー、店員、買い物客や散歩の来街者が多数いたわけで、住民票保持者は3割ぐらいだったと言われている。都市は、これらの人々を守らなくてはならない。スクランブルがかかった時からライフラインが作用するまでの数日間、それらの人々を守るインフラを含んだコミュニティをどう作るかが必須になる。
ヒルサイドライブラリーのささやかな試みは、本を通してコミュニティのための精神的な土壌をつくることだ。本を紹介した人の顔が見える範囲でのつながりが、都市のなかの村にとって必要だと思う。